エコノミークラス症候群とは、実はこの肺塞栓症の事なのです。 名前の由来 肺動脈に血の塊がつまって呼吸困難になり、心臓の機能が低下する病気です。 すぐに血栓を溶かす薬を投与すれば助かることが多いですが、手当が遅れたり重症だったりすると、死亡することもあるかなり怖い病気です。 昨今の海外旅行人気もあって長時間の飛行後に起こることが多く、また患者にはエコノミークラスの乗客が多いことから、「エコノミークラス症候群」あるいは「ロングフライト症候群」と呼ばれていました。 実際にはビジネスやファーストクラス、鉄道、車などでも起きています。 そこで、今では「旅行血栓症」という名前で通っています。 初期症状 1.呼吸困難73% 2.胸痛53% 3.不安感31% 4.冷汗31% 5.失神27% といわれています。 深部静脈血栓症 原因としては、長時間座り続けたりする事によって、下肢の奥の方の静脈(深部静脈)が圧迫されて血の巡りが悪くなり血栓が出来てしまう事によるのです。 この血栓ができることを深部静脈血栓症と呼びます。 座り続けると足もむくむのは、血液中の水分が血管壁の外にしみ出てくるためですが、水分を失った血液は結果として濃度が高くなり固まりやすくなります。 肺塞栓症 このようにして血栓が出来た状態で立ち上がって歩き出すと、太ももの静脈の血液が勢いよく流れ、血栓が血流にのって移動し、肺にある細い血管をつまらせてしまうのです。 この肺に血栓が詰まった状態が肺塞栓症と呼ばれる病気です。 要注意なのは静脈が強く圧迫されやすい肥満体型の人や、経口避妊薬など血液の固まる作用に影響する薬を飲んでいる人です。 予防法 ただ、気をつければ肺塞栓症を防ぐことは可能です。 1時間に1回程度は足を上げ、足首を曲げ伸ばす運動をするのが有効とされています。 足を動かして血流の停滞を防ぎ、血栓が出来ないようにするためです。 水を入れたペットボトルを持参し、1時間当たりコップ半分程度の水をこまめに飲んで水分を補給したり、過度の飲酒を控えたりするのも大切です。 アルコールを飲むとその利尿作用によって尿が出やすくなるため、血中の水分の減少に拍車をかけてしまいますから長時間の旅行の前はアルコールも控えるべきでしょう。 アスピリンは血が固まるのを防ぐ働きがあるので、飛行機に乗る前に少量服用すると予防効果が期待できると思います。 予防法のまとめ ○水分をとる (利尿効果のあるアルコール・コーヒーは避ける) ○1時間ごとに機内の少し離れたトイレに行く。 ○座席で3~5分間、足の上下運動をする。 ○ゆったりした衣服を着て、ベルトをゆるめる。 ○血行が悪くなるので足は組まない。 ○睡眠薬は使わない。 ○長いフライトの前後は禁煙する せっかくの旅行、気分良く終えるためにも予防法を実践して下さい。 |
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